■真空浸炭焼入れ
真空浸炭焼入れは金属加工の熱処理方法のひとつで、ガス浸炭焼入れなどと比較して製品の強度アップに効果的な加工法です。ガス浸炭焼入れでは表面に軟化層が発生しやすい一方で、これらの発生を低減できることや、高温での処理が可能なことから処理時間を短くできるというメリットがあります。真空浸炭焼入れは、浸炭深さの大きな部品や、浸炭処理後に高い耐疲労特性が求められる肌焼鋼(SCM415等)などの処理に効果的です。
■真空油焼き
構造用合金鋼等はベアリングや工具などに使用される磨耗に強い構造の合金鋼です。非常に硬いために磨耗することが少ないので、耐久性があります。真空浸炭焼入れや真空油焼きをすることにより、より硬度な鋼に変化します。多くの機械部品として使われていますし、身近な部品としても利用されています。
■浸炭窒化
真空浸炭焼入れは、真空引きした後、浸炭用のガスを注入して加熱する方法で、真空ガス浸炭とも言われます。真空浸炭の特徴は、表面の浸炭異常層が少なくなるので、通常のガス浸炭に比べ強度が上がります。浸炭窒化は、亀裂伝播性の抑制や、軟化抵抗を持たせるという特徴があります。SPCC、SS41等の一般構造用圧延鋼材や一般冷間圧延鋼板に用いられます。
■高濃度浸炭焼入れ
炉内の空気を抜き取った後に浸炭用のガスを注入し、炭素の添加によって表面の硬化を図る処理のことを真空浸炭焼入れと言います。さらに真空浸炭焼入れの手法から、より多くの炭素を含ませる高濃度浸炭焼入れの方法があり、耐摩耗性に優れた特質を持ちます。このことから、様々な強度を要する歯車の処理などに採用されています。