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公開日:2025.06.17
冷やし嵌め(冷やしバメ、冷間嵌合)は、嵌められる側(内側の部品)を冷却して収縮させて嵌め合わせを行う方法です。焼嵌めの逆で、部品を加熱するのではなく冷却することでサイズ差を確保します。
金属は温度が下がると収縮します。これを利用して、
軸やピンなどのオス部品を冷却して縮める
その状態でメス部品(穴)にスムーズに挿入する
常温に戻ると膨張して、強固に固定される
冷却方法 | 特徴 |
---|---|
ドライアイス(-78℃) | 安価で扱いやすい。中程度の収縮に向く。 |
液体窒素(-196℃) | 強力に冷える。収縮効果大。ただし取扱に注意。 |
注意:結露や霜の発生で表面が濡れると、滑りや嵌め不良につながるため、乾燥状態を維持すること。
冷却時にどの程度収縮するかを計算し、それに応じて嵌合部の寸法差を設計する。
嵌め合いがきつすぎると、挿入時に部品を破損するリスクも。
例:鉄鋼製シャフトで液体窒素使用時、直径100mmの軸なら0.2~0.3mm程度収縮することがある。
冷却後は時間との勝負:室温に戻るとすぐに膨張するため、
嵌め合い設備や位置決め治具を事前にセット
組付け作業は数秒〜十数秒以内に完了できるよう準備
嵌合部はキズやサビを除去し、滑らかにする(軽く研磨 or 油膜で滑りやすく)
必要なら**薄く潤滑油(例:スピンドル油)**を塗布する。ただし油分が多すぎると滑って入りきらないことも。
材料 | 線膨張係数(目安) |
---|---|
鋼 | 約12 × 10⁻⁶ /℃ |
アルミ | 約23 × 10⁻⁶ /℃(鋼の約2倍) |
→ 同じ冷却温度でも、アルミは収縮が大きい。材質による調整が必要。
結露による腐食を防ぐため、乾燥剤入り容器で冷却するか、窒素ガス中での冷却が理想。
嵌合時に傾きや片当たりを避ける:自動センタリング治具の利用が有効。
組立後、内部に圧力がかかる構造では破損リスクあり → 設計段階で応力解析を考慮。
項目 | 冷やし嵌め | 焼嵌め |
---|---|---|
精度 | 高い | 高い |
エネルギー消費 | 少なめ | やや多い(加熱必要) |
環境対策 | 結露に注意 | 熱歪に注意 |
安全性 | 低温の危険あり | 高温の火傷リスクあり |