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冷やし嵌めと焼嵌め

公開日:2025.06.17

冷やし嵌め(冷やしバメ、冷間嵌合)は、嵌められる側(内側の部品)を冷却して収縮させて嵌め合わせを行う方法です。焼嵌めの逆で、部品を加熱するのではなく冷却することでサイズ差を確保します。

■冷やし嵌めの基本原理

金属は温度が下がると収縮します。これを利用して、

  • 軸やピンなどのオス部品を冷却して縮める

  • その状態でメス部品(穴)にスムーズに挿入する

  • 常温に戻ると膨張して、強固に固定される

■ コツ・ポイント

1. 冷却媒体の選定

冷却方法特徴
ドライアイス(-78℃)安価で扱いやすい。中程度の収縮に向く。
液体窒素(-196℃)強力に冷える。収縮効果大。ただし取扱に注意。

注意:結露や霜の発生で表面が濡れると、滑りや嵌め不良につながるため、乾燥状態を維持すること。

2. クリアランス(すきま)の設計

  • 冷却時にどの程度収縮するかを計算し、それに応じて嵌合部の寸法差を設計する。

  • 嵌め合いがきつすぎると、挿入時に部品を破損するリスクも。

 例:鉄鋼製シャフトで液体窒素使用時、直径100mmの軸なら0.2~0.3mm程度収縮することがある。

3. 組立のスピードが命

  • 冷却後は時間との勝負:室温に戻るとすぐに膨張するため、

    • 嵌め合い設備や位置決め治具を事前にセット

    • 組付け作業は数秒〜十数秒以内に完了できるよう準備

4. 表面状態を整える

  • 嵌合部はキズやサビを除去し、滑らかにする(軽く研磨 or 油膜で滑りやすく)

  • 必要なら**薄く潤滑油(例:スピンドル油)**を塗布する。ただし油分が多すぎると滑って入りきらないことも。

5. 材質による熱収縮率の違いに注意

材料線膨張係数(目安)
約12 × 10⁻⁶ /℃
アルミ約23 × 10⁻⁶ /℃(鋼の約2倍)

→ 同じ冷却温度でも、アルミは収縮が大きい。材質による調整が必要。

 注意点・トラブル防止

  • 結露による腐食を防ぐため、乾燥剤入り容器で冷却するか、窒素ガス中での冷却が理想。

  • 嵌合時に傾きや片当たりを避ける:自動センタリング治具の利用が有効。

  • 組立後、内部に圧力がかかる構造では破損リスクあり → 設計段階で応力解析を考慮。

冷やし嵌め vs 焼嵌め:使い分けの目安

項目冷やし嵌め焼嵌め
精度高い高い
エネルギー消費少なめやや多い(加熱必要)
環境対策結露に注意熱歪に注意
安全性低温の危険あり高温の火傷リスクあり